「BRICS」5か国の経済を比較|日本やアジアの企業が進出先として選ぶべき国とは

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BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は新興国市場として長年注目を集めてきました。しかし、各国の経済状況や政治的環境は大きく異なり、海外進出を検討する企業にとっては慎重な分析が必要です。本記事では、2024年9月時点で、日本や台湾、シンガポールなどアジア圏の先進国企業がBRICS市場に進出する際の比較分析を行い、特にブラジル市場の優位性について解説します。

1. BRICS各国の現状分析:中国

中国経済は長年の高度成長期を経て、現在は成熟期に入っています。

またバブル崩壊の懸念や外資規制の強化により経済成長率は鈍化し、政府の規制が強化されたことも大きく影響し、外資企業にとって参入障壁が高まっています。

  • 経済成長の鈍化: GDPの成長率は2023年に5.2%となり、以前の二桁成長から大幅に低下しています。
  • バブル崩壊の懸念: 不動産セクターの問題や地方政府の債務問題など、経済の構造的な課題が顕在化しています。
  • 外資規制: 「国家安全法」の強化など、外資企業に対する規制が厳しくなっています。

中国は、従来は強みであった労働者人口が急激に減少していることから、長期的な経済の将来性を疑問視する声も少なくありません。

2. BRICS各国の現状分析:インド

インドは高い経済成長率を維持しており、2023年にはインドの人口が約14億4,170万人に達し、中国を上回りました。インドの人口は今後も成長を続けると予測されています。しかし、進出にあたっては多くの課題があります。

  • 高成長: 2023年度のGDP成長率は7.2%と、BRICSの中で最も高い成長を示しています[2]。
  • 複雑な規制: ビジネス環境の改善は進んでいるものの、依然として複雑な規制や官僚主義が障壁となっています。
  • インフラ整備の遅れ: 電力供給の不安定さや交通インフラの不足など、ビジネス環境に課題があります。

インドは、カースト制度などに基づく複雑な社会構造が特徴であり、日本などの事業者が進出するのは容易ではありません。

3. BRICS各国の現状分析:ロシア

ウクライナ侵攻以降、西側諸国との関係悪化により、ビジネス環境が大きく変化しています。

  • 経済制裁: 欧米諸国による経済制裁により、国際取引や金融活動に大きな制約があります。
  • 政治リスク: 政治的な不確実性が高く、西側企業にとっては参入のハードルが非常に高くなっています。
  • 資源依存: エネルギー資源に依存した経済構造が、経済の多様化を妨げています。

2024年9月、ロシアは日本を含む西側諸国の多くを「非友好国」と認定し、国家間の関係は史上最悪とも呼ばれるほどに悪化しています。ロシアへの参入を検討する場合は、現地の専門家と入念な調査が欠かせないでしょう。

4. BRICS各国の現状分析:南アフリカ

アフリカ大陸最大の経済大国ですが、社会的な課題が経済成長の足かせとなっています。

  • 治安問題: 高い犯罪率や社会的不安定さが、ビジネス環境に大きな影響を与えています。
  • 電力不足: 慢性的な電力供給不足が経済活動に支障をきたしています。
  • 高失業率: 30%を超える高失業率が社会不安の要因となっています。

資源が豊富な南アフリカですが、政治的な不安定性と、極めて高い犯罪率が大きな障害となっています。

5. BRICS各国の現状分析:ブラジル

他のBRICS諸国と比較して、ブラジルは西側諸国の企業にとって魅力的な市場として浮かび上がっています。

1. 安定した政治・経済環境

  • 民主主義の定着: 長年の民主主義体制により、政治的安定性が高いです。
  • 経済改革: 近年の経済改革により、ビジネス環境が改善しています。2023年のGDP成長率は2.9%と堅調な成長を示しています。

2. 豊富な天然資源と多様な産業

  • 資源大国: 鉄鉱石や石油など豊富な天然資源を有しています。
  • 農業大国: 大豆や牛肉など、世界有数の農業生産国です。
  • 製造業の発展: 自動車産業や航空機産業など、高度な製造業も発展しています。

3. 大規模な国内市場

  • 人口規模: 約2.1億人の人口を有し、南米最大の消費市場です。
  • 中間層の拡大: 経済成長に伴い、購買力のある中間層が拡大しています。

4. 外資に対する開放的な姿勢

  • 外資誘致政策: 政府は外国投資を積極的に誘致しており、投資環境の整備を進めています。
  • 規制緩和: ビジネスのしやすさを向上させるための規制緩和が進んでいます。

5. 地理的優位性

  • 南米市場へのゲートウェイ: 南米最大の経済国として、周辺国への展開の拠点となり得ます。
  • 時差の少なさ: 北米市場との時差が少なく、ビジネスの連携がしやすいです。

6. 参入機会の豊富さ

  • 競争環境: 他のBRICS諸国に比べ、まだ大手企業の参入が少なく、市場シェアの獲得チャンスが大きいと考えられています。
  • 成長分野: デジタル技術やクリーンエネルギーなど、新たな成長分野での機会が豊富です。

6. アジア圏の企業がブルーオーシャンを狙えるブラジル市場

BRICS諸国の中で、ブラジルは政治的安定性、経済の多様性、外資に対する開放的な姿勢など、多くの点で優位性を持っています。特に、他のBRICS諸国が様々な課題を抱える中、ブラジルは比較的安定したビジネス環境を提供しています。

アジア圏の先進国企業にとって、ブラジルは南米市場への進出の足がかりとして、また成長市場としての大きな可能性を秘めています。しかし、言語や文化の違い、複雑な税制など、進出にあたっては慎重な準備と現地パートナーとの協力が不可欠です。

ブラジル市場は今後、国際企業の参入競争が激化すると予想されます。そのため、市場の成長性と参入機会を考慮すると、今がブラジル市場への進出を検討する絶好のタイミングと言えるでしょう。

ブラジル市場に関するご相談は、現地でマーケティング業を展開するカイコトバにお任せください。

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